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India

インドは繊維、穀類、香辛料などを世界市場に輸出する代表的な国です。広大な土地は気候の地域差を生み、農作物に多様性を与えています。
1970年代の「緑の革命」(政府による農薬とF1種の奨励)以降、農薬の借金苦や病気に苦しむ小規模農家が増えました。
しかし、1990年頃からはこの反省を生かした小規模農家は団体を作って有機農業に取り組み、土の保全に取り込む動きが出てきました。
Akshai Jaivik Krishi(Sustainable Organic Farmers Group)
2000年頃から有機栽培に取り組んでおり、約300世帯の農家がグループになり、在来種、自家採取の種で有機栽培をしています。
グループの生産者は農産物の売り上げの中から、医療費、教育費は一部援助され、家畜の餌、在来の種や苗、農機具は無料で提供されます。有機認定もグループが費用を負担します。報酬は生産前の前払いで事前に保証されています。
KASAM(Kandhamal Apex Spices Association for Marketing)

1998年から山岳部族の農村が集まって構成されました。彼らはそれ以前から山奥で伝統的な有機農業をし、近隣の部族間でそれぞれの農作物を物々交換を中心にして生計を立てていました。その頃はまだ大きな町に行く道がなく、他の地域の情報はほとんどなかったそうです。
農作物はとても品質が高かったにもかかわらず、安く買い叩かれ、粗悪品と混ぜられて流通されていたそうです。
彼らの農法の特徴は、森で落ち葉を集めてそれを農地に敷き詰めることで雑草の生育を防ぎ、畑を保温することです(これをマルチングと呼びます)。落ち葉は家畜の糞尿と混ぜ、肥料にもなります。土は火山の赤土でミネラルや養分を多く含有しています。人里から遠く離れていて、農薬の影響は全く受けることはありません。
KASAMの発足によって、彼らの高品質なスパイスは市場価格より高く取引され、海外にも輸出されるようになってきました。農業機器の導入の際には援助金を受けることができます。
現在では約12,000世帯の農村が村ごとにグループになり、3ヶ月に一度のミーティングで技術指導を受け、さらに高品質な作物を作っています。彼らの伝統的な文化や生活を維持しつつ、教育や医療の施設は充実してきました。

Putharjhora Tea Garden
プッタルジョーラ茶園は100年以上の歴史がある古い茶園です。ドアーズ地方で唯一、2001年から有機栽培に取り組み、現在は約1,000人ほどの農家で構成されています。ネパール系の仏教徒とインド系のヒンドゥー教徒が4つの部族に分かれています。
ダージリンの上品な香りとアッサムの渋みの強い濃厚な香りを合わせ持った茶葉はミルクティー、ストレートどちらにも適しています。
標高は1,300メートルほどで茶園としては比較的低く、虫害を防ぐために虫の嫌う植物を水に混ぜて葉に散布したり、近くに植えたりしています。青虫は手で一匹ずつ取り除きます。
2005年からはフェアトレードにも積極的に取り組んでおり、還元されたフェアトレード・プレミアムはすべてメンバーのために使われます。用途はグループ代表が話し合い、平等に決めています。
住居と医療費は無料で、蚊帳の配給、公共の貯水槽の設置、プロパンガスの配給、スクールバスの購入と運営、学生の助成金、エイズ教育、植林など用途は様々です。
また、2003年からはバイオダイナミック農法も取り入れています。数種類の植物や卵の殻、クリスタルなどを牛の糞に混ぜて90日かけて作る肥料を水に溶かして、月の暦にしたがって葉と根に交互に散布します。
Singell Tea Estate
シンゲル茶園はイギリスの統治時代の1861年から始まった歴史ある茶園です。有機栽培だけでなく、バイオダイナミック農法にも取り組む数少ない茶園です。
有機栽培は1980年から始まり、現在679人の農家で構成されています。ほとんどがネパール系の仏教徒で、チベット系、ブータン系の仏教徒とインド系のヒンドゥー教徒、イスラム教徒が少数います。
ダージリンの茶葉は中国系の小さい茶葉で、アッサムやドアーズと比べると1/3から1/2ほどのサイズです。摘み取る作業も他の茶葉より手間がかかるため、価格も2倍から3倍になります。
茶葉は3月から4月の春摘みのファーストフラッシュ、6月から8月が夏摘みのセカンドフラッシュ、9月から11月の秋摘みのオータムナルの3種類に分かれます。
春摘みの茶葉は色が緑がかっていて、水色(すいしょく)は薄い黄色。渋みがほとんどなく、花のような香りです。夏、秋になると少しずつ茶葉は黒っぽくなり、水色は赤くなっていきます。香りは上品な花のような香りに加え、徐々に渋みが増していきます。日本では渋みの少ない春摘みと夏摘みが好まれますが、ヨーロッパでは渋みの強い秋摘みが好まれます。茶葉はそのままの香りを楽しむため、ストレートで淹れます。
標高は高く、2,100~2,500メートルほどで、紅茶の栽培にとても適しています。有機農法はプッタルジョーラ茶園とほぼ同様の栽培方法です。
山の急な斜面に栽培しているので、土砂崩れを防ぐために虫の嫌う植物を植えて工夫していました。こちらでも青虫は手で一匹ずつ取り除き、殺虫はしません。
フェアトレードは2002年から取り組んでおり、還元されたプレミアムはすべてメンバーのために使われます。プレミアムの用途はこちらもグループ代表が話し合い平等に決定します。
給料とは別に5年ごとに積立金が支給され、作業に使うランチボックスや傘、ブーツなどすべてプレミアムで賄います。住居と医療費は無料で、蚊帳の配給、公共の貯水槽の設置、プロパンガスの配給、学生の助成金、エイズ教育、植林など用途は様々です。